「財務デューデリジェンス」の青山トラスト会計社
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財務デューデリジェンスの特徴

有用な情報入手・提供に繋がる財務DDは、以下のような特徴があります。

(1)秘密裡に行われる
(2)迅速性が必要
(3)一定の中立性・第三者性が必要
(4)保険的性格を持つ 


(1) 秘密裡に行われる
 M&Aはトップシークレット事項であり、その情報がもれるとさまざまな利害関係者に多大な影響を与え、M&Aに関する交渉に大きな障外をもたらします。
 仮に、役員や従業員などの社内の関係者にM&Aを進めていることが知られた場合には、彼らは会社の先行きや自分の処遇が心配になり、仕事に身が入らなくなる可能性があります。また、得意先、仕入先、金融機関などにもれた場合には、「経営状況が悪いのではないか」、「社長の健康状態が悪いのではないか」などの憶測が流れ、事業に悪影響を及ぼしかねません。さらに、当事者に上場企業が入っている場合にはインサイダー取引の問題も生じてきますので、M&Aに関する情報は厳しく管理されなければなりません。

 それゆえ、M&Aに向けた準備はごくわずかなメンバーで秘密裡に行われます。M&Aプロセスの一つである財務DDも、少数の利害関係者の間で秘密裡に行われる状況に変わりはありません。こうした状況は、財務DDを実施するうえでさまざまな制約を生じさせます。通常、財務DDの協力者は限定的なメンバーになりますし、手続実施や日程、実施場所などについても制約が生じます。

(2) 迅速性が必要
 M&A取引は通常限られた関係者だけで秘密裡に進められていきます。このような状況は、売り手の経営者をはじめとして多くの関係者に大きなストレスを与えます。この状態が長く続くと、情報がもれる、事業運営に支障をきたすなど、さまざまな問題が発生するため、M&Aの交渉や手続には迅速性が要求されます。

 また、M&Aはタイミングが重要であるといわれます。M&Aの当事者(特に、売り手)にとっては、M&Aは何度も経験するものではなく、彼らはさまざまな不安と葛藤しながら交渉を進めていくことになります。このような状況の中で無意味に時間がかかりすぎると、当事者が疑心暗鬼になって不安を増幅させ、理由なくM&Aをやめてしまうことにもなりかねません。
財務DDもM&Aプロセスの一部ですので、同様にできるだけ迅速に実施することが求められます。特に売り手は「調査されている」という思いを抱きやすく、大きなストレスになりますので、その負担を軽くする意味でも、できるだけ期間を短縮するという配慮が必要となります。

 一方で、財務DDは非常に重要なプロセスであり、その調査対象は会社全体に及びますので、その範囲はきわめて広く、網羅的に行うとしたら相当な時間を要することになります。
財務DDにおいて、どのレベルまで手続を実施するかは非常にむずかしい問題であり、最終的には売り手・買い手の話し合いになりますが、重要性を考慮した効率的な方法で手続を行い、できるだけ短期間で迅速に実施することが求められるのです。

(3) 一定の中立性、第三者性が必要
 財務DDは、買い手の依頼に基づいて公認会計士などの職業的専門家が実施する調査です。それゆえ、実施者は買い手のM&Aの目的や意図を理解し、当然にその意向を汲んだかたちで財務DDを実施しなければなりません。しかし、あまりにも買い手の利害に偏った財務DDを実施すると、売り手の不信感を買い、M&A交渉そのものを決裂させてしまうことにもなりかねません。
そもそも財務DDの究極の目的は、M&Aを成功させることにあり、M&Aを壊すことではありません。もちろん対象企業の状況によってはM&Aをしないという判断も当然に生じますが、適切な意思決定のためには真実の情報を伝えることが重要であり、最終的な判断はあくまで依頼者である買い手に委ねることが必要となります。

 基本合意に基づく財務DDにおいては、売り手と買い手の立場はあくまでも対等です。それゆえ、財務DDで有効な情報を入手するためには対象企業の協力が不可欠であり、彼らの協力を得るために、財務DDは一定の中立性、第三者性が必要となるのです。
すなわち、買い手の意向を汲んだかたちで財務DDを実施しながら、売り手に対しても配慮し、一定の中立性、第三者性を保つことこそが結果的に買い手のための財務DDに繋がるのです。

(4) 保険的な性格を持つ
 M&A取引は巨額な資金の移動を伴う取引であり、失敗した場合には買い手に多大な損害を与えるだけでなく、対象企業やその従業員、取引先、金融機関等に対してもきわめて大きな影響を及ぼします。買収した企業の業績が想定よりも少々悪かった程度であれば買い手としても対処できる範囲内であると考えられますが、買い手に追加の資金負担が強いられるようなことが発生すれば、最悪の場合、買い手自信が倒産してしまうことにもなりかねません。

 このようにM&A取引はきわめてリスクが高い取引であるにもかかわらず、その重要なプロセスの一つである財務DDが軽視されているという状況が少なからず見受けられます。これは、対象企業に大きなリスクがそもそも存在しなかった場合には、コストと時間をかけてまで財務DDを行う意味がなかったという錯覚にとらわれるからです。
 
 たしかに、財務DDを行っても重要なリスクが検出されない場合もあり、そのような場合には無駄なコストと時間をかけたという気がするのもわからないわけではありません。しかしながら、財務DDを実施していない、あるいは、充分に実施しなかったために、契約締結後に重大な問題は判明し、買い手がきわめて甚大な被害を受けたという例は決して少なくありません。
 財務DDは、一種の保険のようなものです。毎回重要な問題点が発見されるとは限りませんが、その影響(損害)の大きさと発生割合を考えれば、十二分に価値のあるものだと考えられます。

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