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有効な財務DD実施のための視点①(経営環境の把握)

インタビューと実証的手続を通して、対象企業の財務情報とリスクを把握する財務DD。広範な調査対象への手続実施を迅速かつ効果的に行うためには、いくつかの「視点」を持つことが必要となります。

 

(1)経営環境(景気、業績、置かれている状況)を把握する

 経済環境、対象企業の属する業界の動向や競争状態(競合他社の状況)、会社の財務状況(自己資本比率や有利子負債の総額、比率等)などが変化すれば、当然会社の業績も変化し、業績が変われば(特に悪化すれば)、決算書をゆがめる誘因も生じやすくなります。

 中小企業においても、決算書を意図的にゆがめる経営者の不正は、その会社の経営環境や業績などを原因としており、それゆえ、これらの状況を把握することは非常に重要になります。
 たとえば、設備投資のために多額の借入がある会社が経済環境の変化によって自社の業績も悪化した場合には、赤字の決算書をそのまま提出すれば、金融機関の融資スタンスに変化を及ぼす可能性があります。仮に赤字が続き債務超過に陥れば、新規の融資を断られるだけではなく、借換えが前提となっていた融資でさえも継続できなくなるため、経営者は粉飾決算をしてでも倒産を回避しなければならないと通常考えます。こうして売り上げの架空計上、在庫の水増し、減価償却の意図的な停止、経費の繰延べなどさまざまな粉飾決算が行われるのです。

 特に中小企業においては、このような粉飾決算を行うことが比較的容易にできる環境にあり、実際に多くの会社で行われているという現実をあらかじめ認識しておく必要があります。
経営者による意図的な不正は、M&Aを実施する上で絶対に見逃されてはならないものです。これを見過ごしてしまえば、M&Aの失敗に繋がるだけでなく、買い手自身にもきわめて甚大な損害を発生させることにもなりかねません。財務デューデリジェンスには時間的な制約、対応者や証憑の閲覧等に関する制限がありますが、意図的な決算書の改ざんを検出することは、財務デューデリジェンスに当然に期待される最も重要な役割です。
対象会社の経営環境(外部、内部)と財務数値の関係が合理的であるかを常に考え、そこに何らかの不合理性や不整合があれば、さらに詳細に調査し、限られた時間のなかでリスクをできるだけ小さくしていくことが、財務デューデリジェンスできわめて重要なポイントになります。

 

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