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DD NEWS TOPICS

財務DDニュース06'秋号

 

財務DD関連

・有価証券報告書の企業結合等注記で、守秘義務等による「匿名・非公表」を開示する動き

上場会社が買手となるM&Aが行われた場合、当該買手企業が開示する有価証券報告書において、原則として「企業結合等関係」の注記が求められます。「企業結合等関係」の注記では、企業結合の概要等の他、被取得企業の取得原価及び対価の種類ごとの内訳(つまりはM&Aにおける株価がいくらだったのか)の開示が法令上求められています。
従来の実務では、当事者間の守秘義務により非開示としている事例も散見されましたが、財務局からの指摘によるものなのか、訂正報告書にて開示する事例が目立つようです。

有価証券報告書の開示義務がある上場企業が買手となるM&Aにおいては、法令で求められる開示事項についても事前に買手と売手の間で確認しておくことが必要になると考えられるため、留意が必要です。

 

・上場会社における会計不正が増加
「上場会社等における会計不正の動向(2023年版)」の公表について/日本公認会計士協会

上場会社においても会計不正が増加しています。経済環境の悪化は会計不正を行う動機につながることがあります。公認会計士による会計監査を受けている上場会社においても会計不正が増加していることを踏まえると、会計監査を受けていない非上場会社において会計不正が行われている可能性は十分に考慮すべきと考えられます。
また、これに加えて非上場の中小企業においては、税務申告に重点をおいた税務決算が行われていることがほとんどです。経営者にとっては粉飾決算の意図はなくても税務上の損金に落ちない費用について、資産計上したまま何年も放置されているといったことも十分に考えておくべき要素となります。


これら会計不正の傾向や税務決算の状況を踏まえると、M&Aの実施時におけるデューデリジェンスの重要性は増々高まってきていると感じています。

・経産省、「企業買収における行動指針」を策定
「企業買収における行動指針」を策定しました(METI/経済産業省)

経産省、「企業買収における行動指針」を策定
上場会社の経営支配権を取得する買収を巡る当事者の行動の在り方を中心に、M&Aに関する公正なルール形成に向けて経済社会において共有されるべき原則論及びベストプラクティスが提示されています。
今後のM&Aの実務に影響を与えることも考えられますので、関係する方々はご一読いただくことをお勧めします。

 

法務・労務DD関連 (記事監修:弁護士法人 三宅法律事務所)

・専門業務型裁量労働制の新たな適用業務に銀行・証券会社でのM&A(合併・買収)業務が追加
専門業務型裁量労働制について/厚生労働省

裁量労働制には、弁護士やゲームソフト創作などの「専門業務型」と自社の事業立案・調査などを担う「企画業務型」があります。
この度、裁量労働制について、「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令」(令和5年厚生労働省令第39号)及び「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針及び労働基準法施行規則第24条の2の第2項第6号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務の一部を改正する告示」(令和5年厚生労働省告示第115号)が2024年4月1日から施行・適用されます。

これにより、専門業務型裁量労働制の適用業務に新たに「銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づく合併及び買収に関する考案及び助言の業務(いわゆるM&Aアドバイザーの業務)」が追加されます。
ただし、2024年4月1日の施行に伴い、専門業務型裁量労働制を導入するにあたっては、労働者本人の同意を得なければならなくなります。また、労使協定において、本人同意に関して、➀労働者本人の同意を得なければならないこと、➁同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしてはならないこと、➂同意の撤回に関する手続、を定めることが必要となります。

また、専門業務型裁量労働制に、「健康・福祉確保措置」が求められることになり、以下のいずれかを選択肢、実施することが適
切であり、以下の【1】、【2】から1つずつ以上実施することが望ましいとされています。特に、把握した適用労働者の勤務状況及びその健康状態を踏まえ、③の措置を実施することが労働者の健康確保をはかる上で望ましいとされています。

【1:長時間労働の抑制や休日確保を図るための事業場の適用労働者全員を対象とする措置】
終業から始業までの一定時間以上の休息時間の確保(勤務間インターバル)
深夜業(22時~5時)の回数を1箇月で一定回数以内とする
労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除
連続した年次有給休暇の取得
【2:勤務状況や健康状態の改善を図るための個々の適用労働者の状況に応じて講ずる措置】
医師による面接指導
代償休日・特別な休暇付与
健康診断の実施
心とからだの相談窓口の設置
必要に応じた配置転換
産業医等による助言・指導や保健指導

 

・商業登記から代表者の住所を希望者は非公開が可能に(令和6年6月3日施行)
「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集
会社代表者の住所、希望者は非公開へ 法務省24年度にも/日本経済新聞電子版2023年12月24日

法務省は、2023年12月26日に「商業登記規則等の一部を改正する省令案」をパブリックコメントとして公表しました。
これにより、2024年6月3日より、一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役及び代表清算人の住所を登記事項証明書及び登記事項要約書において一部表示しないこととする措置を講ずることができることになります。

また、上記の措置を講じた株式会社については、登記情報提供サービスにおいても同様に代表者の住所が非公開となります。
現在はストーカーなどの被害のある場合を除き、代表者の住所が商業登記の登記事項証明書等に記載されますが、個人情報が不正利用され、脅迫やストーカー行為の心配が経済界から懸念として表明されていました。
インターネットで住所がさらされる可能性があることから、フリーランスの個人事業者が法人成りをためらう原因にもなっているとされています。

もっとも、会社の登記上の住所と登記上の住所が一致しておらず、消費者が訴訟を提起する場合に、訴状を送付できない懸念もあるため、法務省は省令案において、住所が非公開でも訴訟手続きを担保する仕組みを盛り込む方向です。
M&AのDDなどにおいても、対象会社の代表者の現況などを把握するために、代表者の住所は重要な要素になり得ますので、留意が必要な改正事項となります。